これだけ危ない! 南アフリカの治安の悪さ。          ~いずれ始まる海外渡航開始に備えて~

アウトドア・トラベル

コロナ禍がなかなか収まらず、東京に4度目の緊急事態宣言が発出されました。

海外はおろか日本国内での移動もままならない中、読者の方々も、海外旅行や海外出張などの機会もここ1-2年はほどんどないかと思います。

私も大好きなハワイの計画を2019年夏に立てていたのが、コロナ禍が始まってしまい延長しました。

ただ、来年頃には是非行ってみたいと計画を練り直しているところです。

そこで、近々以前のようにバンバン海外に旅行や出張がいける日がくることを鑑みて、日本での安心安全な治安ボケを解消すべく、世界で治安の悪さが一位、二位を争う南アフリカを例にとって、海外の治安の悪さを改めて認識しなおして準備しては如何かな?と思い、投稿することにしました。

覚えていらっしゃる方もいるかと思いますが、南アフリカで、2010年に第19回サッカーワールドカップ南アフリカ大会が開催されました。 当時、初めて南アフリカを訪れて見に行こうという方も大勢いらっしゃると思い、以前駐在していた立場から、現地の治安についての注意点をお話ししたことがありました。その時を思い出して書いております。

筆者は、1993年から1998年の約5年間、総合商社の駐在員として南アフリカの最大の都市ヨハネスブルグに駐在しておりました。

南アフリカの治安の悪さについては、マスコミによって強盗傷害事件が1日あたり1500件だとか、殺人事件が1日あたり50件だとか報じられていますが、数字だけ聞いてもあまりピンとこないのではないでしょうか?

そこで筆者の体験を元に幾つかの注意点をお話することによって、南アフリカの治安の悪さを少しでも実感して頂きながら、海外への旅行や滞在に対する危険性を思い出して頂ければと思っています。

治安はお金で買うことが出来ますし、注意すれば災難を防ぐことも可能ですので、そこさえ守れば楽しく旅行や出張などすることが出来ると思います。

注意1.タクシーには乗るな!

日本では全く考えられないことですが、筆者は駐在期間中の5年間一度もタクシーには乗りませんでした。

よく現地の連中から、「タクシーの運転手は、強盗と一緒だ」と言われていました。 

運転手の中には、銃を所持している連中もおり、特に最大の都市にあるヨハネスブルグ空港などから安易に乗ってしまうと、黙って黒人居住区に連れて行かれて、強盗、盗難などの災難に遭う確立は非常に高いです。

筆者は世界の多くの国を旅した経験がありますが、危ないと言われているブラジルでさえ、サンパウロ空港からはタクシーで市内に入ることが出来ました。

空港からタクシーに乗らなかった国は、南ア以外記憶がありません。

注意2.レンタカーは借りるな!

駐在員は、どこの会社でも、基本は会社が社員として雇った黒人ドライバーに運転してもらって通勤したりします。

ただ、慣れてくると自分で自家用車を運転するのですが、慣れない内に南アで車を運転することは非常に危険です。

南アフリカの大都市の近郊には、アパルトヘイトのひとつ人種隔離政策の名残である黒人居住区という地域が存在しています。

ヨハネスブルグの場合は、車で20分ほど走ったところにソエトと呼ばれる巨大黒人居住区があり、一説には200万人とか300万人とかの黒人が住んでいると言われていますが、正確な人口はわかりません。

この中の治安は特に良くないので、絶対に入りこまないように気を付けていたのですが、高速道路などの出口を間違って、誤ってソエトの中に迷い込んでしまったことがありました。

幸い何事もなく脱出できたのですが、日本製の車で日本人が侵入してくること自体珍しいのでしょう。

住人が段々ぶらっと集まってきて、あっという間に多くの人が取り囲み始めた時は本当に恐ろしかったです。

抜けるような青空、さわやかな空気に気を許して運転をしていると、知らない間に黒人居住区に迷い込んで、2度と出て来ることができないなどという事にならないようにレンタカーはおやめ下さい。

注意3.赤信号で止まるな!

よく現地の白人からこう言われました。

「夜は、例え赤信号でも交差点で停車してはいけない。車が来ない場合は無視して進むことだ」

この理由は、交差点のそばにある草むらや近くのビルの陰に隠れた賊が、赤信号で止まった車をターゲットに強盗・殺人を働くという事件が多発しているからなのです。

ある駐在員仲間は、赤信号で止まっていたら、突然助手席の窓ガラスが拳銃で粉々に割られ、割られたと思ったら、黒い手が伸びてきて助手席のシートにおいてあった財布入りのカバンと携帯電話をあっという間に持って行かれたという事件もありました。

注意4.街中は歩くな!

筆者は駐在期間中、一度も街を歩いたことがありません。

ほとんどの駐在員もそうです。 

なぜか。

南アはアメリカ以上に銃社会です。 

簡単な講習を受ければ所持の免許をもらえ、誰でも銃を所持することができます。

スーパーで1~2万円も出せば結構いい拳銃をすぐ買うことができます。

銃を所持した強盗が街中をうろつきまわっている確立がとても高く、特に日本人はお金を持っていると思われているから、例え昼間であろうと、街中を呑気にスーツ姿なんかでぶらぶら歩いていると、あっというまにホールドアップに遭ってしまう危険性がとても高くなります。

当時、筆者の会社の日本人駐在員は10数名いましたが、その内2人は護身用に自宅に銃を所持していました。

筆者の白人女性秘書も、恋人が駐車場で強盗に遭って、右足太ももを銃で撃たれ重傷を負うという現場に遭遇してから、旅行に行く時は、小さな拳銃をカバンに入れていくと言っていました。

驚いたのは、街中の普通のファミリーレストランで、5-6人の普通の白人家族が食事をしていたのですが、お父さんと思われる男性の人のジーパンのお尻のポケットから拳銃の柄の部分が少しだけ覗いていたのを見たことでした。

移動は徒歩のような「線」で動くのではなく、必ず車で、「点」と「点」を結ぶ形をとって移動してください。

歩きたければ、ショッピングモールの中か、ゴルフ場だけにしたほうが身のためです。

注意5.電熱線と赤外線センサーで防御!

これは短期的な旅行者には関係ないかもしれませんが、駐在員の家はどのように強盗の侵入を防ごうとしているかをお話しましょう。

日本でも警備会社と契約して、何かあったら警備員が駆け付けるというサービスがありますよね。

基本はそれと同じなのですが、南アの場合は、セキュリティレベルが各段に違うのです。

まず、契約すると、部屋毎にひとつの赤外センサーを設置してくれます。

それと、家の敷地の外壁の上に、隙間なく電熱線を張り巡らします。

侵入者がその電熱線に触れたり、部屋の中に侵入してくると、たとえ真っ暗でも察知して、アラームが鳴り響き、自動的に警備会社に通報します。

そうすると、警備会社からすぐ電話が来ます。

あらかじめ、警備会社と合言葉を決めておきます。

「OK. No problem」を3回繰り返したら、「賊が横にいて非常にまずい状況を表す」だとか警備会社と決めておくのです。

ホールドアップをされながら電話に出て、警備会社に、「問題が起こっているのですぐに助けに来て!」などと言えないからです。

警備会社が異常を察知したら、契約のグレードによりますが、概ね7-8分ほどで屈強な警備員2人が自宅に駆けつけ、塀を乗り越えて敷地に入って警備をしてくれます。

一回だけメタボなおじさん警備員が来て、塀を乗り越えられないので助けてあげたこともありました。

翌朝、警備会社に電話をして、「あんな警備員は替えてくれ!」

とクレームを入れたのはもちろんです。

2人とも、通常の拳銃よりも貫通能力を高めるために、発射火薬を20%程度増量したマグナム弾と呼ばれる弾丸を発射するためのリボルバー拳銃を持っている点が日本の警備会社と違う点です。

強盗と出くわして銃撃戦になることは結構あるらしく、警備員は大変な高給取りです。 

当然でしょうが、それでも成り手はなかなかいないようです。

注意6.ダウンタウンとヨハネスブルグ中央駅だけは近付くな!

南アフリカ最大の都市ヨハネスブルグのかっての中心地、ダウンタウンは、完全にスラム化しており、世界で一番危険な地域です。

銃を振り回しながら、いわゆるラリっているとしか思えないようにふらついて近づいてくる男に出くわしたことがあります。

また、南アフリカの周辺国家は財政破たんした世界でも指折りの貧しい国に取り囲まれています。例えばモザンビークなどがそうです。 

ヨハネスブルグ中央駅には、そういった近隣国家の貧しい住民が、大挙して押し寄せて来て、そのまま駅で泊まり込んで生活しているのです。

物珍しいからと言って間違っても訪れたりしない事をお勧めします。

以上、当時の治安状態をお話しましたが、今は当時よりもっと悪くなっていると現地の友人から聞いています。

ただ、治安というものは、お金で買うことができます。

南アフリカに限らず海外で治安にお金をケチることは、即、大切なわが身を危険にさらすことに直結するということを呉々もお忘れなく。

アフリカのことわざ

アフリカにはこういうことわざがあります。

「一度アフリカの大地を踏んだものは必ずアフリカに戻ってくる」

不思議なもので、当時の駐在員仲間で会うたびに、全員が口をそろえて、こう言い合っています。

「また、あの素晴らしい南アフリカに是非、皆で行ってみたい!」

治安の問題さえうまくクリアーできれば、これ程素晴らしい国はありません。

抜けるように天高く美しい紺碧の青空、さわやかな高原の空気、青く輝く広大な大西洋とインド洋、四国と同じ面積の野生動物の楽園であるクルーガーナショナルパーク、虹色に輝くドラケンスバーグ山脈などなど。

そして何よりも、素晴らしいホスピタリティを持った純粋で明るく、人なついっこい陽気な人々などとの出会いなど、日本とは全く違った南アの素晴らしい魅力を満喫できます。

南アフリカに限らず、同様に世界には治安は悪いが実はとても魅力的な国がいくつもあります。

治安への備えを万全にして、いざ海外への旅立ちが来るその日を心待ちにして渡航の計画を練りたいものですね!

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