前回のSTEP1(その1)は、STEP1の以下1.から5.までをやりました。
今回のSTEP1(その2)は、青字で書かれている、6.「やりたくないことリスト」から、10.「WHYあなた?の問いかけ」までをご説明します。
・STEP1のポイント
- 1.起業にあたっての心構え 2.ガレージのルールの教え 3.組織のブランド、信用、人脈の重要性 4.やりたいことの見つけ方 5.価値観の重要性 6.やりたくないことリスト 7.ワクワクリスト 8.SWOT分析のお作法 9.独立・起業のコアとは? 10.WHYあなた?の問いかけ 11.モットー(標語)を決めよう 12.ミッションステートメント 13.セルフイメージと意識の持ち方 14.未来日記の重要性
やりたくないことリスト
前回では、
「やりたいこと」というのは、つまり「何をすることに意義(価値・値打ち)を感じるか?」
ということだと申しました。
自分の価値観に問いかけてみて、何かを感じ取ってください。
そうは言っても、なにをしたいのか分からないし、何に意義を見つけているかもわからないという方は、やりたいことを考える前に、まず絶対に「やりたくないことリスト」を作成してみてください。
やりたくない事を認識しておくと、これから進んで行く際に軸がぶれなくなります。
また、やりたくないことを考えるということは、逆にやりたいことを同時にあぶりだすことにもなります。
・やりたくないことリストの重要性
私は水彩風景画を描くのが好きなのですが、本当に描きたい対象をきちんと描き出すには、周りの景色や背景、空の色や色調など、対象物の周りの空間がしっかり描けていないと、いい絵にはなりません。
それと同じことです。
やりたいことを見出すには、やりたくないことを見出すことが必要なんです。
私が独立・起業するときに書きだしたやりたくないことの一部は以下の通りです。
・やりたくないことリストの例
・「絶対にやりたくないこと」
・人にペコペコしてお願いしながら営業すること
・余裕なく一日中駆けずりまわって仕事をすること
・気合いを前面に押し出さないと進まないような仕事
・嫌な連中と、どうしても組んで進めなければならない仕事
・冷や汗をかいたり、胃がキリキリと痛むような仕事
・つまらない駆け引きが必要な仕事
・虚勢を張らないと出来ない仕事
・無理やり売り込むという営業行為
・やりたいこと
やりたくないことが書けたら、次はやりたいこと、やりたいと思っていたことを考えていきます。
次の問いかけに答えてください。
「今までにワクワク感じたことはなんでしょうか?」
このワクワク感、言いかえれば高揚感をもった対象、それが、本当に自分がやりたい、やらねばと意義を感じていることであることが多いと思います。
論理的思考より直観的な思考からくるものです。
ワクワクリスト
ワクワクリストをつくって、1~10まで埋めてください。
きっとその中に自分の価値観が露呈したやりたいことが見出せると思います。
どうしてもリストが埋まらない人へ。
ヒントをお教えします。
次ページの質問に答えてください。 そうすると本当にやりたいことが見えてきます。
・ワクワク質問
以下の質問に答えてください。
そうすると本当にやりたいことが見えてきます。
- Q1.徹夜しても、それが苦にならないほど熱中できることは何ですか?
- Q2.多少の出費は夫や妻にかくれてでも惜しまず使ってしまいたいと思うことは何ですか?
- Q3.散歩や歩いているときふと思い浮かぶことは何ですか?
- Q4.今までやってきたことで、時間を忘れて集中できたことは何ですか?
- Q5.考えているだけでワクワクすることは何ですか?
・できるのか?やる価値はあるのか?
本当に好きなことが第一優先ですが、次に考えなければいけないことは、それがあなたにとってできることなのかどうかということと、やる価値のあることかどうかを分析することです。
幾ら好きなことだといっても、あなたにやれる能力がなく、市場で求められてもいないことをやっても、趣味の世界なら別ですが、成功して生活していくために収益を求めるビジネスにはなりません。
それはできることなのか?
例えば、
「自分は、ラーメンを食べることが大好きで、今ラーメンブームだから、ラーメン屋をやりたい」
といっても、今までラーメンと全く縁のない仕事をしており、たまに趣味で作る程度のサラリーマンが、その道ですぐに食べていける程、世の中は甘くありません。
SWOT分析のお作法
それはやれることなのかどうか、時流に乗っていて、やる価値のあることなのかどうかを判断するには、あなた自身がおかれている市場に対する客観的な位置づけを認識することが大事です。
これには、SWOT分析という手法を活用して分析します。
外部環境を機会(Opportunity)と脅威(Threat)に、内部環境を強み(Strength)と弱み(Weakness)に其々を分けて、計4つの面にあなた自身を、あるいはこれからやろうとすることをあてはめて分析していきます。
●外部環境分析
まず、外部の環境分析から始めます。
分析対象は、対象とする顧客や社会の大きな変化、競合他社や業界がどういったトレンドでどちらに動いていくかといった動向を分析します。
まず、ビジネスの機会を考えます。
将来の可能性や顧客の拡大、事業の発展、収益拡大などに繋がる要素を分析します。
主な要素としては、
●経済動向や法規制(強化or緩和)
●少子高齢化などの人口動態的環境変化
●社会文化的環境変化(SDG‘s、脱炭素化など)
●テクノロジー環境変化(5G、水素カーなど)
などが主な要素となります。
次いで、自分にとって脅威となる要素を分析します。
機会となる要素以外のあなたにとってネガティブな要素です。
●内部環境分析
次は、内部環境分析です。
分析対象としては、現在の自分自身あるいはこれからやろうとすることについての強みと弱みを識別します。
競争相手との比較でもかまいません。
ノウハウや経験、知識、人脈、資格、バックボーンなど色々あるかと思いますが、コアとなる経営資源などが分析対象です。
・SWOT分析による見極め
まずは、あなたはどんな強みをもっているかです。
必ずしも過去に成功したことや、過去にあった競争力だけが、未来のビジネスにおける強みになるとは限らず、明日の弱みに転ずる可能性を踏まえて客観的に分析します。
会社などの組織のサラリーマンであっても、会社は、あなたのその能力を評価し、その能力を認めた上で給料という報酬を払っていたわけですから、会社でやってきた仕事の内容は、ひとつの大きな強みである可能性が高いですし、独立起業後も、プロとして活用出来る能力であると言えます。
自分が社会人として一番長くやってきて、顧客やパートナー、上司や同僚から評価されてきた能力を書き出してみて、それが使えるかどうかを考えてみてください。
SWOT分析(例)
・総合的考察
最後に、書き出した機会(Opportunity)と脅威(Threat)、強み(Strength)と弱み(Weakness)を見て、総合的に考察してみます。
特に機会(O)を軸にして、事業を成功させるためのポイントを探っていきます。
総合的考察(例)
成功するためのポイント
1.団塊の世代が大量に退職する機会をとらえ、自分の強みである新規事業開発のノウハウを活用し、
起業化支援事業を行う。
2.ただし、大手コンサルティング会社が参入してくる脅威を考え、大手が関心を持たない個人で独立
を志向している小規模な起業化支援に対象を絞る。
3.人前で話すことが弱みであるので、インターネットを活用したオンラインコンサルティングを行
う。
・方向性を発見する
こうして、あなたがやりたいことと、SWOT分析の結果でわかる、あなたができること、あなたがやる価値があることなどの市場での位置づけを分析してみると、これから独立・起業して何をすべきかの総合的な方向性が見えてくると思います。
独立・起業のコア
あなたがやりたいこと、あなたができること、あなたがやる価値のあることがはっきりして、その3つが重なりあったところが、独立起業のコアとなります。
私の場合は、以下のようになります。
1.やりたいこと: 独立起業・新事業開発支援コンサルティング
2.できること: 永年、企業内でビジネスを生み出し付加価値を創出してきたこと
3.やる価値のあること : 団塊の世代の大量定年退職や早期退職による第二の人生計画の機会出現
「Whyあなた?」の問いかけ
以上の結果で出た方向性や独立・起業のコアとなるものに対して、あなたが間違った方向に進んでいないかどうかを確認できる簡単な方法を教えます。
日常何かアクションを起こす際に、「Whyあなた?」と問いかけることを習慣にしてください。
例えば、「企業の新規事業を立ち上げる際の支援コンサルティング」に向かって進んでいたとします。
その時に、「Why あなた?」と問いかけてみてください。
「何故、それをやるのがあなた(あるいはあなたの会社)なんですか?」という問いかけです。
例えばこの場合の「Why三宅?」に対する答えは、「商社、ITベンダーにおいて永年一環して事業開発分野に関わってきたし、新しいことにチャレンジすることが大好きである」
となると思います。
「Why あなた?」という問いかけに対して、すぐに明確な答が出てこない場合は、どこかに無理があるはずです。
あなたがやるべきことではないのかもしれませんので、もう一度検討しなおす必要があるでしょう。
お疲れ様でした。
以上で、STEP1 6.「やりたくないことリスト」から、10.「WHYあなた?の問いかけ」
が終了です。
次回のSTEP1(その3)は、以下の11.「モットー(標語)を決めよう」から始めます。
11.モットー(標語)を決めよう
12.ミッションステートメント
13.セルフイメージと意識の持ち方
14.未来日記の重要性
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